子供の頃から、幽霊の話になると 思わず膝を乗り出してしまいます。
怖いもの見たさ、得体のしれない物への畏怖と好奇心。
名古屋市博物館の特別展 「福岡博物館所蔵 幽霊・妖怪画大全集」を見に行きました。
朝、急に思い立ったのですが、今日が最終日、間に合ってよかった。
会場には肉筆幽霊画、骸骨画、歌舞伎の幽霊画、妖怪画、妖怪動物画などジャンル別?に160点もの作品群。
幽霊画の描き手は自分が描いた幽霊に、逆にとらわれることはなかったのでしょうか。
自分のうちなる深淵が生み出した幽霊に、逆に見据えられる恐ろしさ・・・
私たちの日常の隙間に、すぐ隣り合わせに、幽霊たちはひそんでいる・・。
人は人によって尊厳を奪われた時、心を踏みにじられた時、夢や希望を奪われた時、幽霊にならざるを
得ないのかもしれません。
閉ざされた心を溶かすのもまた人ではないでしょうか。
社会から哀しい幽霊を生み出してはいけないと思います。
おどろおどろしい幽霊ばかりでなく、ユーモラスな妖怪たちもたくさん。
キツネやタヌキが何かに化けていたり、長く使い込んだ道具には魂が宿るなど、古人の考えに共感を覚えます。
子供の頃「おばけを探検する」という本を持っていました。
鍋島藩の猫騒動やら、子育て幽霊の話やら、お岩さんの話やらを恐々と、けれど何度も読み返しました。
あの頃の気持ちが今でもそのままに、おばけ話はいくつになっても、心惹かれてやみません。
日本人の死生観とか、優しさとかとか、自然への畏怖とか、心の深いところとつながっているのでしょうね。