私の気になる指揮者、佐渡裕さんの著書を見つけました。
「棒を振る人生」 PHP新書
子供の頃、指揮者という職業を不思議に思ったものでした。
楽器で音を鳴らすわけでもない、適当に棒を振り回すだけなら私にもできそう・・・
大人になってコンサートにも時折足を運ぶようになり、その曲のことはよくわからないけれども、圧倒的に
迫ってくる世界に包まれて心が震える、涙がさらさらと流れる、そんな経験をするようになりました。
そんな音楽を引っ張る指揮者というものは、どうもただならぬことをしているらしい・・・。
一体指揮者って・・???
そんな疑問を持っていた私にとって、 なるほど!そうだったのか・・と興味深く読める本です。
指揮者がどのようにオーケストラの団員と関係をつくっていくか・・・。
自分の求める音をどうやって団員に伝え、欲しい音を引き出すかなど・・・。
そしてこの本には、「人間」佐渡裕さんの魅力がつまっています。
特に、小学校の時に友人を亡くしたエピソード、それに関連してヨーロッパでの演奏会の直前にみた夢の話、
その演奏会での特別な体験。
ベルリンフィルを指揮したときの未体験ゾーンに入った感覚、最高の音を求めて楽団員、聴衆が一つになる瞬間、
そんな空間に聴衆の一人として私もいつか身をおいてみたいものです。
また世界的な指揮者である佐渡さんが、自分の歩みを「一人で屋台を引っ張るようにして今日まで
歩いてきた」と表現されているところにも、人が生きていく本質をみるようで励まされます。
「棒を振る人生」という本の題名もいいですね。
どんな人生も、自分でロマンや物語を見つけることができるのではないでしょうか。
「土を耕す人生」 「メスを持つ人生」 「絵筆を握る人生」 「荷物を届ける人生」
「教壇に立つ人生」 「洋服を創る人生」 「魚を追う人生」 「家族に美味しい料理を届ける人生」
私の人生は・・?
きっと「人のお話を聴く人生」となるのでしょうか。