心理学の本を読み返していて、懐かしい文に再会しました。
「ゲシュタルトの祈り」
私は私のために生き、
あなたはあなたのために生きている。
私がこの世にあるのは、
あなたの期待に応えるためではない。
あなたがこの世にあるのも、
私の期待に応えるためではない。
あなたはあなた、私は私。
たまたま心が通じ合えば、それはすばらしい。
通じ合わなければ、それはそれでしかたない。
(引用文献 世界の心理学50の名著 T・バトラー=ボードン著)
初めて目にしたとき、なんてシンプルに人の自律性を語っているのだろうと思いました。
新鮮で、勇気をもらえます。
親子、夫婦、先生と生徒、友達、同僚、
誰かの期待に過剰適応したり、誰かをを操縦しようとしたりする必要はどこにもないはず。
ゲシュタルト療法の創始者、フリッツ・パールズは「義務感で行動するのではなく、
感じるままに行動することの大切さ」を説いています。
ゲシュタルトの特徴を一言でいうならば、「考えるのでなく、感じる」ということにつきると思います。
「今ここ」で感じていることに気づき、そこからこれまでの抑圧や、否認してきたことを手放し、
自由な生き方を取り戻していく。
カウンセリングの現場でもクライエントさんが自分の気持ちに素直にふれ、感じながら話をされるようになると、
受け止めきれない苦しい現実から、自分で立ち上がっていく姿勢へと変化していかれます。
カウンセラーはクライエントさんの力を信じ、ゆだね、共に感じながら、ただその場にいることしかできません。
でもそれが実はとても意味のあること。
人が大きく変わろうとするときに、その重さを受け止めながら、相応の場を設けるとでもいうのでしょうか。
とても大きなカウンセラーの仕事ではないかと思っています。