実家の本棚から

岡山の実家に帰省してきました。

かつての私の部屋は物置と化していますが、本棚には私の親しんだ本がそのまま埃をかぶっています。

 

久しぶりに読み返してみました。

吉本ばななさんの『キッチン』

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相性が良い本は、ひたひたと寄せる静かな波のように、いつのまにか心を潤してくれます。

そのリズム感、濃度などに自分の中のものが呼応するのでしょうか。

登場人物の言葉に、「そうそう、私の感じているのはこういうことなの」と嬉しくなったり、その表情や

しぐさの描写のリアルさに目の前にその人がいるかのような感覚を味わっていたり。

本に癒されることは多いですね・・・

 

先日、吉本ばななさんのインタビュー番組をみました。

そのなかで印象的だったのが、「物事の表面で起きていることではなく、その奥の深い流れの中で起きていることを

書きたい」とおっしゃっていたことです。

その人をその行為に至らしめた、心の奥の深い流れで起きていることは一体何なのか・・。

それは個人や家族、また今現在という限られた単位にとうてい収まらない、無限の時空へ広がるもの。

自分に無関係のことなど、何一つありません。

 

もう一つ、印象深いばななさんの言葉。

(本を書くとき)70%は生きている人のために書いている。後の30%は死んだ人へ向けて書いている。

とてもよくわかる気がします。

私自身の在り方と重なるのです。

 

お盆を迎えた実家の中庭。

ここ数年自生している白いユリが咲き始めていました。

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