先日のこと、”カウンセリングと心理療法はどう違うのですか?”という質問を受けました。
明確な基準のない世界なので、セラピストによって答えはさまざまなのではないかと思います。
よい機会なので、私の中での考えを記してみます。
大きくみると心理療法の中にカウンセリングが含まれている。
順番でいうとカウンセリングの延長線上に心理療法がある。
カウンセリングが言語表現を通して、起きていることを整理、理解し、気づきや解決法を見出していくのに対して、
心理療法は、本人も意識できていない心の深み、「無意識」にまでアプローチしていきます。
カウンセリングが知的理解による解決法だとすると、心理療法は感情、感覚を積極的に取り上げ、
体感を伴った決心を促したり、癒やしに導く手法といえるかもしれません。
カウンセリングで、答えを導き出したはずなのに、なぜかまだ気持ちがすっきりしない、
現実にはうまくいかないということがあります。
頭でわかっちゃいるけどやめられない、過去のことなのに何度も甦る嫌な出来事、
もう会えないとわかっている人にもう一度気持ちを伝えたい、こんな時は心理療法の出番です。
心理療法には、ゲシュタルト療法、再決断療法、神経言語プログラミング、プロセス指向心理学、
フォーカシングなどいろいろな手法がありますが、どの手法も目指すところは同様ではないかと
思います。
クライエントさんの個性やストーリー性を踏まえたうえで、セラピストの指向、力量などが関わってきます。
私の場合は「○○療法でやります」というのではなく、その場に応じた折衷的なもので良いのかなと思っています。
ではカウンセリングのどの段階で心理療法を使っていくか・・・。
カウンセリングで解消すべき過去のトラウマ的出来事が見つかったとします。
「さあ、では次回のカウンセリングでこの出来事について心理療法を行いましょう」というのも一つのやり方。
もう一つは、カウセリングの自然な流れの中で、いつのまにか心理療法がなされているケース。
例えば、カウンセリングで故人の思い出を語っているうち、伝えきれていなかった想いが湧き上がり、
いつのまにか故人が目の前にいるかのように感謝の言葉、謝りたかったことなど、ほとばしるように表現
される時、それはすでに創造的な心理療法の世界。
クライエントさんの底力に目をみはる瞬間です。
セラピストはいかにどっしりとその場に立ち会えるか、存在性が問われる瞬間です。
人は自分で癒えていく力、未来を切り開いていく力をちゃんと持っている。
その思いは深まるばかりです。