本の紹介「ぼくがいま、死について思うこと」

読み始めたら止まらなくなり、一気に読みました。

「ぼくがいま、死について思うこと」  椎名誠

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死について色々な観点から語られていますが、例えば世界のさまざまな死者を葬る形について。

チベットの鳥葬、モンゴルの風葬、インドやネパールの水葬など。

世界を旅して現地の方の生活と深く関わり、関係を築いてきた著者ならではの真実ののレポートゆえ、

読んでいて臨場感があります。

まるで「知り合いのシーナさん」がそばで語ってくれているような感覚になり、その内容はなかなか強烈です。

 

それらの話から感じたのは、どの弔い方もその土地の風土や民族の宗教性に根差した、とても理にかなった

崇高なものであるということ、また遺族が、その死を受け入れ、いい形で心におさめるための儀式でもある

ということです。

 

日本では、葬儀社によって流れ作業のように効率化されたものが一般的ですが、遺族の心のことを考えると

果たしてどうなのかな・・と思うところはあります。

 

著者自身の身内の死についても書かれていますが、例えば母の死の時に予知夢をみたことなど、

私にとって興味深いエピソードが多々ありました。

私自身も夢の中で人の死を予知する経験が何度かあり、「死に関して人の潜在能力はなかなか繊細なものが

あるのではないか」と感じています。

 

今まで知人などから聞いた話を思い返しても、身内など亡くなるときにメッセージを受け取ったとか、

大切な死者とつながるような体験をしたとか、そんな話はありました。

数人で話していると、意外と出てくる不思議体験・・・。

こんな特別な体験は、大切にしたいものですね。

 

 

また、ポルターガイストやサードマン現象、また「災い」が起きる場所の話など、科学で説明のつかない

ことも、この世にはやはりあるのですね。

この世は目に見えるものだけ、さわれるものだけではない・・・

自分の経験からも、けっこう確信しています。

 

目覚めると雪

朝、目覚めると外の道路でキュッキュッと音がします。

雪を踏みしめて道行く人の足音。

名古屋は9センチの積雪です。

 

南の島から来た軒下のシーサー。

この白い世界に何を想っているのでしょうか・・・。

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この季節、いつもは丸裸で、申し訳なさそうにたたずんでいるエゴの木。

今日はこのとおり、まぶしいばかりの姿です。

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赤い南天には雪が似合います。

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子供の頃は、赤い実を目に雪うさぎを作ったものでした。

今はただ眺めるだけです。

 

そうこうしているうちにも、日差しは燦々まぶしく、庭の姿もどんどん変わってきました。

すべては刹那のこと・・・。

赤ちゃんの日記

年明けそうそう誕生日を迎えました。

 

私の本棚にある、この世にただ一冊の本。

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母がせっせとしたためてくれた「赤ちゃんの日記」

私が小学校に入るまでを綴った、母の子育ての記録です。

真面目で何事にも一所懸命だった母だけに、かなりの読みごたえです。

 

赤ちゃんの日記でありながら、家族の記録でもあるこの日記。

曾祖母や祖父母、結婚前の叔父叔母も一緒の10人の大家族の中に私が迎えられ、日々の生活が

織りなされていく様子。

まだ若かった母の子育ての中での一喜一憂が微笑ましい。

また何気ない家族の会話や出来事がいきいきと綴られていて、みんなが私の成長に関わり、

かわいがってくれた様子が偲ばれ、しみじみ温かい気持ちになります。

 

あやふやに伝え聞いていた出来事のほんとうのところ、知り得なかったエピソードなど、この日記で

「なるほど、そうだったのか・・」と明らかになったこともあります。

 

時代を感じさせる記述も多くあります。

例えば、御近所でいただいたお祝いの記録。

○○さん・・毛糸2色(当時は赤ちゃんのために普通に手編みしていたのか?)

○○さん(近所の漁師さん)・・饅頭と最中計65個、タコやハゼなどの魚

○○さん(鶏卵業の方)・・卵30個

○○さん(近所の農家の方)・・米2升、みかん2キロ、毛糸

半世紀前の旧き良き時代を反映していて面白い。

ご近所の方のお気持ちに感謝です。

 

 

そして何より日記から溢れる母の想いにうたれます。

人生の後半心のバランスを崩し、辛い日々を送った母でしたが、子供を想う気持ちはますます

深まっていったように思います。

母という、ユニークで人間らしい愚かな、でも精いっぱい生きた人の子供でよかった。

私にとって誕生日は、母との縁に感謝する日かもしれません。

 

 

生まれた場所の力

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

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さてお正月休みは3日間実家に帰ってきました。

実家は男所帯で、帰るたび家の中はすさまじい状態。

どうもこの家の男たちの中に、「整理整頓」とか「掃除」という文化は育たなかったようです。

帰省のたびに私は掃除三昧ですが、長年のことなのでそれにも慣れ、少しでも綺麗になると

「ああ、よかったな・・」と気持ちも清々しくなります。

 

生まれた家ででゆっくり過ごす帰省は叶いませんが、それでも生まれた土地、家というものは

力を与えてくれるものだなと感じます。

幼い頃から踏みしめた土、東向きの家を一日ゆっくりと照らす太陽の光、年月をかけて成長してきた庭木、

ここに連なる人を見守ってきた年季の入った家屋、家から眺める集落の風景。

私を育んでくれたこれら大切なものは、私の一部と言っていいくらい。

ここにしかない気の流れの中に身をおき、私はいっそう元気になって日常に戻ってくるのです。

 

高齢の父は、昨年よりも体の衰えが目立っていました。

それでも不自由な手で、50にもなる娘のために朝の味噌汁を作ってくれました。

兄は少し離れた新幹線の駅まで送り迎えをしてくれ、駅でお土産をあれこれ求めて持たせてくれました。

二人の気持ちが身にしみました。

 

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実家の庭で遊ぶ猫のトラ。

40年前の写真・・・。