父との電話で

ちょくちょく実家の父に電話をします。

去年までは畑仕事に精を出し、自分の食事も不自由なく作っていた父でしたが、今年になってがくんと体力も落ち、認知症の症状も出ています。

人と話す機会も減ったようです。

そんな中、父の一日がちょっとでも豊かになるといいなと思って、電話をします。

 

昨日は、亡くなった祖母(父の母)の実家のことを話題にしてみました。

私も4歳くらいの時、一度祖母に連れられて訪問したことがあるのですが、ジクソーパズルのごく一部のピースをかろうじて持っている程度の記憶です。

 

私:「おばあちゃんと汽車で行ったことがあるよ。近所で馬をみたような・・・」

父:「あーそうそう。隣の家に馬がおっての、子供の頃はあの馬が怖かったわ」

私:「え~、やっぱり馬がいたんだ。他に覚えてるのは、離れに通されてお人形で遊んでもらったこと」

父:「あ~、離れはこういう風な間取りでな、わしらが子供の時はあの離れの2階に泊まっとったわ」

私:「家の裏に山があったね」

父:「そうそう、正戸山を背にした東向きの家じゃった。家の前は段々に畑があったわ」

私:「そういえば、おばあちゃんが正戸山ってよく言ってた」

 

こんな風に会話は続き、父の話は祖母の兄弟や従弟にのことにも及んでいくのです

今まで知りえなかった、一族のエピソードも聞けたりして、私にとっても興味しんしん。

思いがけず引き出しの奥から出てきた、古びた小箱を一緒に探検する気分です。

 

正戸山を兄弟たちと駆け降りる少女の祖母が目に浮かぶよう。

父と私は、懐かしい人たちの存在感にすっぽりと包まれます。

今も幾重にもつながる縁を感じ、じんわりと心が温かくなりました。

 

父の電話の声はいつもより、ずっと元気でした。

 

箱庭は語る

カウンセリングオフィス+αさんの3周年祭 箱庭療法体験会に参加させていただきました。

お二人のセラピストに見守っていただきながら、自由に作品を創ります。

 

まず、手作りの箱に自分で好きなだけの砂を入れます。

砂遊びの感覚で、砂の感触を感じながら、模様をつくったり、山にしてみたり。

次はアイテムを置いていきます

たくさん並んだアイテムの中から、気になった物を持ってきて、置きたいと思ったところに置きます。

うーん、ここじゃない、やっぱりこっちかな・・

 

角笛、木像、万華鏡のようにきらきら光るプレート、エキゾチックなお面、恐竜、動物、蛇、魚、鳥

仕上げにに花びらや鳥の羽をひらひらと天から降らせました。

 

できました!

 

セラピストのお二人と作品をみていきます。

テーマも意図ももたず、その瞬間の感性の積み重ねでできた作品です。

ただ、途中からネイティブアメリカンのような、大地に根差した世界観を感じていました。

大地と太陽、生物、植物、あらゆるものが時空を超え、分けられることなく、つながって生きている。

そんな宇宙観が反映された作品なのかな~というところに落ち着き、体験終了。

 

が、一夜明けて、はたと気づいたのです。

ここに表れているのは「鎮魂」ではないか。

砂を盛って、その上に象徴的なものを置く。

半分砂に潜っているものもある。

動物たちはそれぞれの場所で、安らかにたたずんでいる。

天からは、花びらや鳥の羽がふわりふわりと、優しく砂の上に舞い落ちる。

プロセスの一つ一つが、大地や幾多のの魂を弔う作業のようにも思えます。

 

深層が現れた・・・

そう感じました。

 

ふふふ、今頃気づいたの?

正面に座ると、じっとこちらを見つめている懐かしい顔。

赤いダルマに母の面影が・・

昨日は亡くなった母の誕生日でもありました。