ぼくもういかなきゃなんない
すぐいかなきゃなんない
どこへいくのかわからないけど
さくらなみきのしたをとおって
おおどおりをしんごうでわたって
いつもながめてるやまをめじるしに
ひとりでいかなきゃなんない
どうしてなのかしらないけど
・・・・(続く)
谷川俊太郎さんの「さようなら」という詩の前半です。
心をぎゅっとつかまれます。
「さくらなみきのしたをとおって おおどおりをしんごうでわたって いつもながめてるやまをめじるしに」
私は毎日のように、私の住む町にある、この詩の情景とぴったりの道を通ります。
この何気ない日常から、たった一人で、「いかなきゃなんない」日があるのです。
どこへいくのかわからないけど・・
どうしてなのかしらないけど・・・
わかっているのは、それが自分の歩いていく道だということだけなのですね。
詩をたどるとき、私は「ぼく」になっている
詩の「ぼく」を見ている私もいる
身近なひとが「ぼく」になっていることもある
心のいろんな扉をノックする詩です。
詩の最後のところ
だからとおくにいてもさびしくないよ
ぼくもういかなきゃなんない
ここもとても好き。
切ないけれどとても好き。
秋の日、たまには詩集をひらいてみようかな・・・