山の怪

子供のころから不思議な話に魅かれます。

手元にある「山怪」シリーズ。

副題に「山人が語る不思議な話」とあります。

マタギなど山の仕事を生業としている人や、山里に住む人たちの実体験を丁寧に取材し、不思議な話を集めたものです。

 

文庫本が出たので、お盆に実家に持ち帰って読もうと思っていたのですが、実家の離れで深夜一人読むのはやはり怖い(旧い実家もまたいろいろと不思議なことがある家)

名古屋に帰ってから一気に読み終えました。

 

それにしても山という場所は無限につかみどころがない。

説明のつかない、いろんなことが起こるところですね。

収録されている話は、多岐に及びます。

山で不思議なものを見る、声が聞こえる、何かにいざなわれてとんでもないところに行ってしまう、死者と会う、狐、狸、ヘビにまつわるもの、狐火、人魂、などなど。

 

「狐に化かされる」とは昔からよく言われますが、犯人が狐かどうかは別にして、時になんらかの不思議な出来事が起こるのは事実なのでしょう。

人は、説明のつかないことを体験したり、見聞きしたときに、不安になる。

そんな時に「狐の仕業」という、一同共通の物語として、心に納得させてきたのかもしれませんね。

 

子供の頃、山里にある母の実家に行くと、狐火を見た話など普通にされていました。

夜道を歩いていると向こうの山すそに、青白い火がゆっくりと移動している。

「あれは狐火だね」という風に。

また、父方の祖父は、「夜の山道で美しい女性に化けた狐にあやうく騙されそうになった」と話してくれたことがあります(こちらは幾分脚色されていた印象がありますが・・笑)

 

さて、本の話の中には、私自身がまさに体験したこと、また家族や知人の体験とあまりに重なるものがあり、驚きました。

このような体験は「山」に限らず、もっと広範にあることなのかも。

神聖でスピリチュアルな場所である「山」で、とりわけ不思議なことに遭遇しやすいのかも知れません。

 

私は霊感が強い方でもないし、いわゆる見える体質でもないのですが、それでも今までの人生の中で不思議なことがいくつもあります。

この世は、目に見えない世界も確かに存在していて、私たちが見ているものはその中の一部に過ぎないのかもしれない・・

 

「不思議な体験」を怖い話として終わらせたくないです。

このような実話や体験に、人間への、また個人へのメッセージがあるように思えます。

人も自然の中の一存在であることを思うとき、目に見えない世界からも、生き方のヒントやパワーを受け取れるのではないかと思えるのです。

 

ところで、私や家族が体験した不思議なこと、思いつくままに数えてみたら、すぐに20以上になりました。

忘れないよう、いつか書き留めておこうと思います。

 

きっと皆様の中にも、不思議な体験をされた方、いらっしゃるのでは?