数年前、紅葉狩りに訪れた香嵐渓で出会ったマムシです。
冬眠前のせいかまるまると太っていらっしゃる。
久しぶりに出会って興奮して撮った写真です(蛇大好きなので)
私の育った岡山の田舎ではマムシを「ハミ」と呼んでいました。
誰かがハミに噛まれた、ハミが出た、などと聞くと、逞しく想像をめぐらし、子供心にゾッとしたものです。
(と同時に、怖いもの見たさのワクワク感も…)
だって噛まれたら、速く血清を投与しないと死んでしまうかもしれない、身近な脅威ですもんね。
大人は普段から、子供が被害に遭わないよう、「ハミ」の特徴を子供に教えたものでした。
頭が三角、胴が太くずんぐりしている、鎖のような模様、人と出会っても逃げないなど。
我が家では祖母が良く話してくれました。
その話の中で、どうも頭に引っかかっていた次のような話があります。
「ハミは口から子供を産む、その時牙が邪魔になるので、牙を抜くために出産前のメスはよく噛みつく」というものです。
本当だろうか…
そうだ、今ならネットで調べてみればいい!
早速、「マムシの生態」とキーワードを入れて調べてみました。
結果、やはり迷信でしたね。
複数のサイトで、「口から出産、邪魔な牙を抜くために噛みつく説」が迷信として取り上げられていましたので、この間違い話を信じていたのは、わが田舎だけではなかったようです。
でもこの迷信、全否定もできないです。
マムシは他の蛇と違い、卵生でなく卵胎生(お腹の中で卵が孵化し、子供を産む)である。
妊娠中のメスは神経質になり噛みつきやすい、またカルシウムの合成を行うため太陽の当たる昼間に出てくるので、人と遭遇しやすい。
卵でなく子供を産むこと、妊娠中に噛みつきやすい説は、事実と合っています。
ただ口から産むわけでなく、実際には排泄口からだそうです。
クワっと開けた口から、次々とマムシの子供が出てくるグロテスクな図、私の幼い日の想像は間違いでした(*´ω`)
話はそれますが、「毒蛇は急がない」という名言があります。
20代の頃、作家の開高健さんの著書で知りました。
開高さんが釣り雑誌の取材でで思うような結果が出ず、焦っていた時に現地のタイの王族から教えられたと記憶しています。
力のあるものは急がない、時を待てる、すぐに結果を求めない、いかようにも解釈できる名言です。
毒蛇は急がない。
香嵐渓のマムシも人がみているうちは、道路の真ん中から逃げませんでした。
そのうち車が走ってきました。、
「アッ、ひかれる」一瞬ヒヤッとしましたが、車が通過する瞬間、マムシは身をキュッと縮めてコンパクトになり、左右のタイヤとタイヤの中間で無事でした。
マムシを後にし、歩き始めてしばらくして後ろを振り返ると、その姿はもうありませんでした。
かっこいいヤツだなー、そんなことを感じたように思います。