先日の夜、久しぶりの従姉に電話したら、「今からお散歩、ちょうど外に出たとこよ」とのこと。
道路わきを歩いているのか、バックで車の騒音が響いていました。
従姉が口にした「散歩」という言葉が、懐かしくちょっと嬉しくなりました。
そう、この従姉との思い出は、私にとって「散歩」とセット。
子供の頃の夏、母方の従姉妹たちは、都会を離れ、広島の山間部で一人暮らす祖母の家に避暑に集まるのが恒例でした。
(私の場合は海の田舎から山の田舎への移動でしたが)
そんな夏の昼下がり、「散歩行かへん?」とよく誘ってくれたのはこの従姉です。
他のいとこもいる中、自分がこの年長の従姉に誘ってもらえることが、誇らしく少し大人になったような気持ちだったことを覚えています。
たわいのない話をしながら、山道を歩き、川のほとりを歩き、風が運んでくる牛舎の匂いを嗅ぎながら神社で一休み、そんな時間でした。
姉妹のいない私にとって、年上の彼女からこぼれるあれこれは、あこがれ。
都会生活の香り、垢ぬけた持ち物、洋服。
読書の楽しみを広げてくれたのもこの従姉。
小学生の時紹介してくれた本、「歌うこうもり傘「」はとびっきり面白かった。
高校の頃だったか、自分がちょうど読み終えた文庫本をひょいとくれたこともありました。
石川辰三の「青春の蹉跌」
遠藤周作の「彼の生き方」もいつか薦めてくれた本、そのエンディングの感動は、今でも心に残っています。
お互いに社会人になり、いつしか疎遠になっていたけれど、またあの頃のように、散歩しながら話したいなあ。
まずは私も近所を歩いてみよう。
そうだ、娘も誘って…
「ねえねえ、お散歩行かない?」
「行かない」
即答でしたね、あはは…
では一人でお散歩、行ってきまーす!