もうすぐお盆を迎えますね。
子供の頃、大人たちから聞かされた、お盆にタブーとされていた言い伝えを思い出しています。
お盆に殺生をしてはいけない。
お盆に海や川で泳いではいけない、なぜなら「盆仏がつく」から。
これは子供心に怖かった。
泳いでいると死者の魂に足を引っ張られて、あの世に連れていかれてしまう……
お盆の海や川は、特別に底知れぬ何か恐ろしいものを秘めているように思え、水の色まで違って見えたものです。
泳ぎに行こうとは決して思わなかった。
それなのに、父はそんな迷信めいたものをまったく意に介さない人で、お盆でも気にすることなく、自分の船を意気揚々と海へ出し、魚とり、蛸とりなどに出かけてしまうのです。
海に潜るわ、殺生はするわ、大丈夫なんだろうか……
父が無事に帰ってくるまで、子供心に心配したものでした。
同じ兄弟でも、弟である叔父は、「兄貴、お盆に海に行くとはどういうことだ」と父を戒めていた記憶があります。
余談ですが、父の長年の信仰心のなさは(ただ作法を知らなかっただけかもしれないが)かなりのものでした。
祖父母が亡くなった年に、何十年かぶりにお仏壇に手を合わせるということをしたのではないかと思います。
その時なんと、仏壇の前で、パチパチと手をたたき、家族を仰天させましたね( ゚Д゚)
母方の田舎は小田川という川の流域に広がる里山です。
毎年夏には避暑に行き、毎日のように川で泳ぎました。
いつものように、いとこたちと川で遊んでいたとき、河原で見張りをしていた伯母に突然呼ばれました。
川のある地点を指さし、「あそこに近づかないでね。昔、子供がおぼれて亡くなっているから。今ふいに思いだしたの」
伯母の表情には、地形的な危険というよりも、霊的な危険の意味合いの方がより強く出ていて、そのあたりによどむものを勝手に感じ取った私は、思わずぞくっとしました。
科学がいくら進歩しても、目に見えないものに揺らぐ感性は大切ではないかなと思います。
それがどう役に立つの?と聞かれてもちょっと困るけれど。
お盆のころ出てくるクラゲは、成仏できない魂の化身とも言われるようですね……