バラの挿し木

最近、頻繁に強風の日がありましたね。

庭のバラが可哀そうなことになってしまいました。

容赦ない風の力に耐えかねて、こくんと大輪の首を折っていたり、外側の花びらをハラハラと落としていたり。

そしてついには、大きく樹幹が傾き、フェンスによりかかって辛うじて立っていた。

思えばこのバラも植えて9年、いつのまにか老年期に入っています。

かつてはこのような勢いのある株だった。

 2015年頃

 

ここ数年は樹勢が衰え、(私の剪定のまずさも手伝って)かたあしだちょうのエルフのような姿になっていた。

(かたあしだちょうのエルフとは、子供の頃読んだ絵本の題名。ライオンと戦って片足を亡くしたダチョウ、それでも勇敢に動物の子供たちを守り、最後は木になった)

 

ほらほら……エルフみたい。

 

風で傾いた樹幹は、添え木とレンガをあてて、とりあえず真っすぐにしてみました。

でもどちらにしろ、この先かつての勢いは戻らないでしょう。

今のうちに挿し木にして、2代目を育てようと思いつきました。

できた!

どうかうまく育ちますように……

実は今までも挿し木を試したことがあるのですが、新芽は出たものの、庭への定植が早すぎて失敗した経験があります。

今回は慎重に、2年くらいは鉢植えでじっくり育てようと思います。

 

このバラはここに引っ越した年、稲沢の植木市で買ってきたもので、品種はブルームーン。

道行く人が「きれいね」とか「私の好きなバラなんです」とか何人も声をかけてくださった。

娘が美術の授業で描いたこともあった(授業後にバラは先生の机に飾られていたらしい)

開花期は切り花にして毎年部屋に飾った。

庭で息絶えた昆虫や鳥を埋葬して、このバラを手向けることもあった。

そんな思い出深いバラ、これからも庭で咲き続けてほしいのです。

 

挿し木の作業中、私の好きな言葉が頭に浮かんだ。

「明日世界が滅びるとしても、今日君はリンゴの木を植える」(マルティン・ルター)

そう、「明日世界が滅びるとしても、今日私はバラの挿し木をする」

これが今日も生きているってことかな。