最近、頻繁に強風の日がありましたね。
庭のバラが可哀そうなことになってしまいました。
容赦ない風の力に耐えかねて、こくんと大輪の首を折っていたり、外側の花びらをハラハラと落としていたり。
そしてついには、大きく樹幹が傾き、フェンスによりかかって辛うじて立っていた。
思えばこのバラも植えて9年、いつのまにか老年期に入っています。
かつてはこのような勢いのある株だった。
ここ数年は樹勢が衰え、(私の剪定のまずさも手伝って)かたあしだちょうのエルフのような姿になっていた。
(かたあしだちょうのエルフとは、子供の頃読んだ絵本の題名。ライオンと戦って片足を亡くしたダチョウ、それでも勇敢に動物の子供たちを守り、最後は木になった)
ほらほら……エルフみたい。
風で傾いた樹幹は、添え木とレンガをあてて、とりあえず真っすぐにしてみました。
でもどちらにしろ、この先かつての勢いは戻らないでしょう。
今のうちに挿し木にして、2代目を育てようと思いつきました。
できた!
どうかうまく育ちますように……
実は今までも挿し木を試したことがあるのですが、新芽は出たものの、庭への定植が早すぎて失敗した経験があります。
今回は慎重に、2年くらいは鉢植えでじっくり育てようと思います。
このバラはここに引っ越した年、稲沢の植木市で買ってきたもので、品種はブルームーン。
道行く人が「きれいね」とか「私の好きなバラなんです」とか何人も声をかけてくださった。
娘が美術の授業で描いたこともあった(授業後にバラは先生の机に飾られていたらしい)
開花期は切り花にして毎年部屋に飾った。
庭で息絶えた昆虫や鳥を埋葬して、このバラを手向けることもあった。
そんな思い出深いバラ、これからも庭で咲き続けてほしいのです。
挿し木の作業中、私の好きな言葉が頭に浮かんだ。
「明日世界が滅びるとしても、今日君はリンゴの木を植える」(マルティン・ルター)
そう、「明日世界が滅びるとしても、今日私はバラの挿し木をする」
これが今日も生きているってことかな。