カバンを磨く

8年以上使っている、仕事用のカバン。

かなりくたびれてきました。

A4のファイル、重い本、水筒、はおりもの、何でもかんでも放り込んで、酷使してきました。

型崩れが進み、バッグの口のところなど、こすれて色が剥げてきている。

 

いつだったか、このかばんを持った自分の姿が、デパートの鏡にふいに映った。

周りのきらびやかな雰囲気の中、ふるぼけたカバンを持っている人……だった。

「そろそろ買い替えようかなー」一度は思ったけれど、結局その後も使い続けています。

 

時々革用クリームで磨くと、新品にはない艶となめらかさが出て、ちょっとほれぼれします。

使い込んだ風合いですね。

革が柔らかくなった分、手にも身体にもなじみ、使い易い。

 

先日の外での仕事の後、自分の中にモヤモヤとしたものが残ってしまった、ということがありました。

(その機関のルールがあるので、その中でどこまで自分のカラーを出せるかという葛藤があった)

帰宅後、なぜかカバンを磨いている私がいました。

革用クリームをとんとんと何か所かのせて、全体に伸ばす。

隅々にまで伸ばして、丁寧に磨く。

ダメージのある所は、もう一度クリームをのせて磨きこむ。

その日のことは、頭の中を浮遊していましたが、手は無心に動かし続ける。

磨き続けるうち、心がひたひたと穏やかな波で満たされるように、すーっと整っていった。

 

一方、カバンはつやつやと輝き、よみがえりました。

この古ぼけたカバンはもはや相棒、まだまだ力をくれます。