年明けそうそう誕生日を迎えました。
私の本棚にある、この世にただ一冊の本。
母がせっせとしたためてくれた「赤ちゃんの日記」
私が小学校に入るまでを綴った、母の子育ての記録です。
真面目で何事にも一所懸命だった母だけに、かなりの読みごたえです。
赤ちゃんの日記でありながら、家族の記録でもあるこの日記。
曾祖母や祖父母、結婚前の叔父叔母も一緒の10人の大家族の中に私が迎えられ、日々の生活が
織りなされていく様子。
まだ若かった母の子育ての中での一喜一憂が微笑ましい。
また何気ない家族の会話や出来事がいきいきと綴られていて、みんなが私の成長に関わり、
かわいがってくれた様子が偲ばれ、しみじみ温かい気持ちになります。
あやふやに伝え聞いていた出来事のほんとうのところ、知り得なかったエピソードなど、この日記で
「なるほど、そうだったのか・・」と明らかになったこともあります。
時代を感じさせる記述も多くあります。
例えば、御近所でいただいたお祝いの記録。
○○さん・・毛糸2色(当時は赤ちゃんのために普通に手編みしていたのか?)
○○さん(近所の漁師さん)・・饅頭と最中計65個、タコやハゼなどの魚
○○さん(鶏卵業の方)・・卵30個
○○さん(近所の農家の方)・・米2升、みかん2キロ、毛糸
半世紀前の旧き良き時代を反映していて面白い。
ご近所の方のお気持ちに感謝です。
そして何より日記から溢れる母の想いにうたれます。
人生の後半心のバランスを崩し、辛い日々を送った母でしたが、子供を想う気持ちはますます
深まっていったように思います。
母という、ユニークで人間らしい愚かな、でも精いっぱい生きた人の子供でよかった。
私にとって誕生日は、母との縁に感謝する日かもしれません。