ぶん マクシム・ゴーリキー
え ズデネック・ミレル
やく きむら ゆうこ
文もさることながら、挿絵がいい。
いきいきとと輝いていて物語の世界に誘ってくれます。
草花、ネコ、クマ、木、芋虫、かたつむり、ひとつひとつがなんとも愛らしくて、色彩がきれい。
こんな絵を部屋に飾りたい・・、こんなプリントの洋服を着てみたい!!
さてお話はというと・・。
イワンという間抜けな若者がだれも思いつかないような、ばかばかしいことばかり引き起こします。
けれど本人はいたって真面目、誠実でいつも真剣。
なんの偏見も価値観も持たずに生きているので、人々が恐れるクマともたちまち親しくなるのです。
最初、人間とみて警戒したクマでしたが、イワンのいいことも悪いこともそのまんまの態度にすっかり
心を許すのです。
本当に純粋なものには、みんな心を開くのですね・・。
そして手助けしたくなるようです。
クマのおとうさんとイワンの会話はなかなか哲学的。
作者の想いがにじみ出ています。
最後のページ、ゆうかんなおんどり「オドロカン」が、クマの前にたちはだかって叫ぶエンディング、
なんともまぬけです。
「コケコッコー、コケコッコー!おまえをかわに、なげこむコッコー!!」
私、こんなおんどりの「オドロカン」になっていなければいいのですが・・・
時々ひろげたくなる絵本です。