「家の神」ザシキワラシ

朝から しとしとと雨模様。

家の中がシンと冷えてストーブの前から動けないでいると、おのずと家の内に注意が向きます。

時折、天井裏で「トン」と物音がしたり、「ミシッ」と木がきしむ音がしたりして、家も生きているようです。

そして空間への想像力も働き始めます。

 

岡山の旧い家で育った子供の頃、天井裏で物音がすると祖母などが「やぬしじゃ」と言っていたものでした。

「やぬし」というのは多分「家主」と書くと思われます。

旧い家には「やぬし」と呼ばれる大きな蛇が住み着いていて家の守り神だとされていました。

我が家だけの迷信ではなく、同郷の友人の家でもそのように言われていたとのことです。

 

民俗学の父、柳田国男の「遠野物語」では「家の神」として ザシキワラシ、オクナイサマ、オシラサマなどが

伝えられています。

なかでも私の好きなのは、なんといっても「ザシキワラシ」

「旧家にはザシキワラシと云う神の住みたまう家少なからず。此神は多くは十二三ばかりの童子なり」

「此神の宿りたまう家は富貴自在なりと云うことなり」(原文より)

ザシキワラシは家に繁栄をもたらす神様なのですね。

 

遠野物語の十八話は、ある旧家から童女が二人出ていくのを村人が目撃して間もなく、この家の主従20数人が

茸の毒にあたって一日のうちに死に絶える話です。

なぜ、このような悲劇が起きてしまったのでしょう・・・。

 

それにこたえるのが二十話です。

二十話はこの家に出た蛇を、下男たちが面白半分に殺してしまったという話です。

蛇は、神や先祖という考え方があったことを考えると、不吉な行為です。

 

村人が目撃したこの童女は別の家に入り、「その何某は今も立派に暮らせる豪農なり」とつづられています。

童女はザシキワラシだったのですね。

ザシキワラシが出て行った家は没落し、入った家は繁栄する。

 

また死に絶えた家にたった一人生き残った七歳の女の子がいます。

みんなが茸を食べた時、夢中で外で遊んでいたために昼飯を食べそこね、助かったのです。

 

「7歳までの子供は神のうち」ということわざがあるようですが、ザシキワラシといい、生き残った女の子の

話といい、子供への畏敬や大切に守られるべき神のようなものというメッセージを感じます。

幼い子が発しているピュアなエネルギー、引き寄せられるような不思議なオーラ、現実社会にいる神様なのかも

しれませんね。

steve011私たち大人はきっと恩恵を受けているはず。

 

うちには幼い子はいませんが、電車などで幼いお子さんの近くに座ったりすると、「ラッキー!」と心で

つぶやいてます。

 

 

 

 

2015年2月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : naomi-room