イギリスの児童文学
思い出のマーニー[新訳] ジョーン・G・ロビンソン著
初めて読みましたが、思った以上によかったです。
心を閉ざし、周囲になじめない少女「アンナ」
心の問題があると医者に判断され、転地療養のため海辺の田舎町で過ごすことになります。
アンナはその町の入り江にある、湿地屋敷になぜか心を惹かれます。
そしてそのお屋敷に住む不思議な少女「マーニー」と出会い、ひと夏の交流がはじまる・・・
不思議な少女「マーニー」はいったい何者・・? 幻想・・? 現実・・?
意味深なヒントもちりばめられているようでもあり・・とても引きつけられます。
どちらにしろ、マーニーに出会ったアンナの心の奥深いところで変化が始まり、アンナはたくましく再生していくのです。
自分を見捨て死んでしまった、と思っていた家族が、大きな存在感で現れている物語。
時空を超えた家族のつながりがロマンティックです。
死者となった家族の愛に導かれ、閉ざされた心が開かれ始める・・。
同時に、現実世界の温かい人たち愛に支えられ、元気になっていくアンナがとてもいきいきと描かれています。
背景もいいですね。
海、入り江、小舟、嵐、風車小屋。
無意識を象徴するようなこれらのものが、幻想性を高め、アンナの深い体験を暗示しています。
児童文学とはいえ、この年で読んだからこその、味わいや発見が多くありました。
またいつか、読み返したい本です。