本の紹介「思い出のマーニー」

イギリスの児童文学

思い出のマーニー[新訳]  ジョーン・G・ロビンソン著

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初めて読みましたが、思った以上によかったです。

 

心を閉ざし、周囲になじめない少女「アンナ」

心の問題があると医者に判断され、転地療養のため海辺の田舎町で過ごすことになります。

アンナはその町の入り江にある、湿地屋敷になぜか心を惹かれます。

そしてそのお屋敷に住む不思議な少女「マーニー」と出会い、ひと夏の交流がはじまる・・・

 

不思議な少女「マーニー」はいったい何者・・? 幻想・・? 現実・・?

意味深なヒントもちりばめられているようでもあり・・とても引きつけられます。

どちらにしろ、マーニーに出会ったアンナの心の奥深いところで変化が始まり、アンナはたくましく再生していくのです。

自分を見捨て死んでしまった、と思っていた家族が、大きな存在感で現れている物語。

 

時空を超えた家族のつながりがロマンティックです。

死者となった家族の愛に導かれ、閉ざされた心が開かれ始める・・。

同時に、現実世界の温かい人たち愛に支えられ、元気になっていくアンナがとてもいきいきと描かれています。

 

背景もいいですね。

海、入り江、小舟、嵐、風車小屋。

無意識を象徴するようなこれらのものが、幻想性を高め、アンナの深い体験を暗示しています。

 

児童文学とはいえ、この年で読んだからこその、味わいや発見が多くありました。

またいつか、読み返したい本です。

2016年9月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : naomi-room