早いもので桃の節句も過ぎ、今朝、お雛様をしまいました。
毎年我が家は、贈られたお雛様、子供が作ったお雛様、あれやこれやいろんなお雛様を和室にだだっーと飾ります。
いつもと違って華やかなお部屋になります。
その中の一つ、手作りの紙のお雛様です。
以前、ご近所に住んでいらした年配の奥様が、うちの娘のためにご自分で作って贈ってくださったものです。
転勤で知り合いもない名古屋に来た私たち家族に、普段から何かとご夫婦で声をかけてくださり、
娘が生まれて間もなく、奥様は娘のために手作りの紙雛を折って持ってきてくださったのです。
ご夫婦共に随分前に亡くなられましたが、この紙のお雛様は毎年大事に飾っています。
奥様が恥かしそうに、「こんなの飾る?」と云いながら机の上に一つ一つお雛様を取り出して
飾ってみせてくださった様子が、つい昨日のことのように思い出されます。
身内でもない私たち家族のことを、何かと気にかけてくださっていた優しいご夫婦でした。
「私、あなたのことが好きなのよ、この子(娘)も二人とも好きなの」
さらっと言ってくださったことがありました。
またある時は、娘のために「お友達連れてきたよ」とウサギのお人形を縫ってきてくださいました。
近くに知り合いもなく、孤独で慣れない子育てをしていた私にとって、どれほどの力になったかわかりません。
それにしてもこんなに手のかかったお雛様。
本当に気の遠くなるような細かい作業、ひとつひとつ丹念に丁寧に、いったいどれほどの時間をかけて
ご不自由な手で作られたかと思うと、今でも嬉しくて・・・・。
手作りのものからは、作った人のオーラが出ているとか。
今も私たちのことを、ときどきフラッと見守ってくださっているような気がします。
これからも大事に大事にしたい、我が家のお雛様です。