娘の用事に便乗して、思いがけず一泊で東京に行く機会を得た。
東京もギラギラと容赦のない猛暑。
このなか外を元気に歩き回る気力はなく、今回の旅のテーマは「なるべく涼しい観光」
1日目は娘と別行動だったので、関東在住の友人に声をかけてみたら、運よく仕事が休みで付き合ってくれた。
一緒に東京国立近代美術館へ行く。
ちょうど「パリ 東京 大阪 モダンアートコレクション」という企画展をしていた。
幅広いジャンルの作品がテーマをもとに集い、意表を突いた作品群でとても見応えがあった。
最後のコーナーは3つの動画作品、なかなかこんな展示に出会ったことがない。
「MAM」という作品、一人の男の夜のジョギング風景にフランス語での淡々とした一人語りが入る。
人生の無常観とともに、人への愛おしさのようなものにひたひたと包まれた。
熱心に見ていた友人も何か感じるものがあったのかな……
夕方、娘と合流してホテルへ。
ホテルの事情とやらで、最上階の広いお部屋にグレードアップされていた。
嬉々としてソファーでくつろぎ、夜景を楽しむが、このあと罠が待っていた。
メイクを落とそうと備え付けのクレンジングを使ったら、すさまじい肌への刺激、ヒリヒリ感に目も開けられない。
「あのクレンジング、強烈だから気をつけてね、失明するかと思ったわ」
さっそく娘に注意を促す。
その後バスルームから出てきた娘が言った。
「お母さんの使ったクレンジング、男性用髭剃りフォームって書いてあったよ…」
(;一_一)…
翌日は「マクセルアクアパーク品川」へ行く。
かつて勤めていた会社の名を冠した水族館、ガイドブックで見つけて行ってみようと思った。
光や映像など最先端技術が駆使された演出、マクセルさん頑張っているじゃないですか。
高難度のイルカショーは2回も観たし、カワウソのショーもかわいかった。
夕方、銀座にでる。
ここはやっぱり暑くても外を歩いて雰囲気を楽しまねば……
銀座4丁目あたりから、6丁目のGINZASIXをめざす。
ここのの地下3階に観世能楽堂があり、かねてから気になっていたが、残念ながらこの日は定休日だった。
能と言う演劇の性質を考えると、地下に能舞台があるというのも、とても趣がある。
いつかここで、能を鑑賞したいものです。
再び4丁目に帰ってきて、木村屋のアンパンを買い、三越の地下でお弁当を買う。
あとは東京駅のキオスクでワインの小瓶を買えば、帰りの新幹線が素敵な時間となるだろう。
そういえばGINZASIXでこんなことが……
通路を歩いていくと、反対方向から来た人とぶつかりそうになった。
「あ、すみません」と右によける。
するとその方も同じ方向によけて、またぶつかりそうになる。
「あ、すみません」再び左によける。
ところがまたその方も同じ方向によけるので、ぶつかりそうになる。
「お母さん、何してるの」娘の冷ややかな声。
なんと、私は鏡に映った自分の姿を「どこかのおばさん」と認識し、左右に行ったり来たりしていたのだった。
この暑さで一時的に脳がバグっただけだと思いたい。