名古屋能楽堂に、能を観に行ってきました。
演目は「杜若」と「藤戸」
間に狂言の「杭か人か」
「杜若」で、異世界に連れていかれました。
もちろん面をつけた人間が舞っているわけですが、とてつもない何かが宿っている感じ。
圧倒的な存在感、場の空気感。
その何者かと客席にいる自分との、魂の交流。
理由もなく、涙がとめどなく流れていました。
「なにごとの おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」
ここにどのような神様がいらっしゃるのかは存じ上げないがが、身に染みるようなありがたさがこみあげてきて、思わず涙がこぼれてしまった。
西行が伊勢神宮で詠んだとされる歌
まさにこの歌の境地です。
能とは、心霊と出会い、対話し、亡者を供養するためのものだそうです。
おそらく能楽師は、頭で考えながら舞うのでなく、徹底的に型を身体にたたきこみ、その空っぽの入れ物となった身体に、心霊を迎え入れるのではないかと思います。
舞いの所作、衣装、笛や鼓の音、リズム、舞台、あらゆるものが霊を迎え入れ、供養するための要素なのでしょう。
その場に身を置くと、だんだんと意識のレベルが下がっていくのを感じます。
これは本当に神事だなと感じました。
私も少し、浄化されましたかね・・・
昔から、能装束や能面に何故か惹かれていました。
やっぱり能はいいなあ。