舞台になる

カウンセラーとして大事に思っていることがあります。

クライエントさんが表現者であるならば、カウンセラーはその「舞台になる」ということ。

もともとは心理療法家の河合隼雄さんの著書から得たことです。

ご自身の臨床活動において、治療者はクライエントさんが演じる演劇の「舞台になる」という表現をされているのです。

 

初めてこの言葉にふれたときは、その意味がわかるようでわからない、今一つしっくりきてはいませんでした。

その頃の私のセラピスト像は、舞台というよりも、「クライエントさんの伴走者」というイメージ。

クライエントさんの旅の途上、傍らに寄り添って時に励まし、時に重い荷物を半分持ち、共に地図を眺め・・

そんなふうに思っていました。

 

その後、臨床活動を重ねるうち、「舞台になる」という表現の深さに思い至るようになった気がしています。

人の人生はまさに唯一無二のもの、心の景色も十人十色、それをそのまま表現してもらうことがどれほど大事か。

 

台本のない舞台上で、何が起こるか、どんな登場人物が出てくるか、小道具、照明、その他ディテール・・・

何らとらわれのない自由な舞台でいられるか、繊細であるか、そこにセラピストの力量が問われるのではないかと思います。

そこでどんなことが起こってもそのまま受け止める、図らずも降りてくるものがあれば迎え入れる。

クライエントさんの世界を最大限引き出せる舞台に・・・

 

人は本当に一人一人違う世界を秘めています。

現実世界では表現できないことも、舞台上では表現できます。

現実でないところでの表現、それって意味あるの?

あるんです。

 

無意識や潜在意識などの領域、心の奥底が動くと、現実と接している意識も影響を受けます。

意識が現実を作っていると考えると、カウンセリングという舞台で、心の奥底が動くことに大きな意味があるのではないでしょうか。

 

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