先日「死別を体験した家族を支える」というテーマの、福祉関係職員さん向けの研修に参加しました。
その中の演習で、ジェノグラムが取り上げられました。
ジェノグラムとは簡単に言えば家系図ですが、個々の年齢、病気や生死、家族の関係性や過去の出来事など様々な情報を書き込みます。
私も、家族療法を学んでいた8年前に、初めて自分のジェノグラムを描いたのですが、この体験はとても貴重なものでした。
5世代にわたるジェノグラムに、知りうる限りの情報を書き込み、ほぼ完成。
最後に、わずかに躊躇しつつも、生まれる前に亡くなった私の兄弟の存在を図で書き込みました。
その瞬間、思いがけない感覚に全身が包まれたのです。
彼が(もしくは彼女が)私の味方であり、今もそばにいるという確信。そして安心感。
予期しないスピリチュアルな感覚でした。
生まれてくることのできなかった兄弟のことは、それまでどこかで私の心に影を落としていたのだと思います。
亡くなって尚、今もそばにいてくれる、しかも味方なんだ。
そう実感できたことは、その後の私に大きな力を与えてくれています。
人を支えるのは、今生きている人ばかりではない。
カウンセラーとして関わらせて頂く多くのケースからも、強くそう感じます。
お話を聴く中で、クライエントさんが亡くなった人から、愛を与えられ続けていると実感する瞬間があります。
過去の大切な人のことを語る、その存在やつながりを感じる、それらのことがなぜか、今を生きる人の大きな力になっていくのです。
不思議ですね。
ジェノグラムは、歴史的な視点を持って、関係性を分かりやすく図示できるため、家族の全体像を把握できます。
それにより「その家族特有の在り方を理解しながら解決の姿を探ることができる」と家族療法では主に理解されています。
でもそれだけではない。
ジェノグラムから、じわっと立ち上がってくるものがある。
まるで、閉ざされていたものがとけて、ふいに意思を持って現れてくるような、何かしらの現象が起る可能性。
そんな面も、私はジェノグラムに感じているのです。