緑が生い茂るこの季節、うちの小さな庭は、虫だらけ。
彼らのすさまじい食欲に、木々の葉っぱは無残なことになっている。
大小の穴だらけの葉、レース状になった葉、茶色に変色してボロボロになった葉。
サンビタリアの花は咲くそばから、全てバッタに食べられるので、ただの草みたいになっている。
エゴノキにはおびただしいコガネムシ。
シマトネリコには毛虫、緑色の巨大な芋虫、カミキリムシなどがひそんでいる。
数年前など、一晩ですべての葉っぱが食いつくされ、坊主になった木もありました。
害虫スプレーを噴射すればよいのは知っている。
でも……
虫も生きにくい環境でなんとか生きているんだろうなと思う。
新鮮なごちそうをお腹いっぱい食べられる場所があってもいいではないか……
何より、私は虫を眺めるのが好きなのです。
殺生はしたくない。
「よし、うちは虫食堂でいこう!」といつか思ったのです。
もとより風情も何もない庭。
よそのデザイン性のあるお庭をみると、羨ましく思う。
それに比べ我が家は、たまたま目についた木を、適当にぼふっぼふっと植えただけの、庭というよりウナギの寝床。
だけど、虫食堂と思えば、がぜん意味が見いだせる。
このうっそうとした木の並びも、頼もしく思えてくるよ。