「鏡リュウジの占星術入門~月の相と星座で見るあなたの素顔」という講座に参加しました。
占星術については何の知識もない私、かろうじて自分の星座を知っている程度ですが、鏡リュウジさんはちょっと気になっていた。
というのも鏡さんは、ユング心理学にも造詣が深い方のようで、心理学の書籍の翻訳も多いことは知っていたので、占星術と心理学がどう共存しているのだろうと興味があった。
今回初めて知った「月の相」というキーワード。
これは「生まれたとき、空に浮かんでいた月はどのような形をしていたか」というもので、八つに分かれるそのタイプによって、意識と無意識のバランス、パワーを発揮しやすい状況、葛藤を抱きやすいポイントなどを知り、人生に役立てようというもののよう。
私のタイプはファーストクオーター、新月から満月に向かう中間あたり、上弦の月の頃の生れとわかった。
光が強くなる頃で、本能から行動に向かう、思春期から青年期に入る、チャレンジする、そんな特徴を持つらしい。
太陽が表す「意識」よりも月が表す「無意識」の影響が強いという。
なるほど……
月の相などの占星術と、ユング心理学はどう絡まってくるのだろう。
鏡さんのわかりやすい解説で、その二つの領域の相性のよさ、相互にみる面白さを味わうことができた。
なかでもグリム童話の「いばら姫」の解釈はとても面白かった。
ユング心理学の「意識と無意識」「象徴」などの重要な概念をキーワードに「いばら姫」のお話をひもといていく。
例えば意識と無意識をそれぞれ象徴するものが、要所要所でふんだんに登場し、暗示したり運命を左右していくさま。
表のストーリーの裏でパラレルに動くもう一つの物語。
「いばら姫」の一節を紹介すると……
魔女によって15歳で死ぬ呪いをかけられたオーロラ姫、一人の妖精の機転で死は回避されたが、お城ごと100年の眠りにつく。お城はいばらに覆われ、100年間時の止まった世界となる。その間、美しいオーロラ姫が眠る城のうわさを耳にした幾人もの王子様が姫を助けようと、いばらに堅く囲まれたお城に挑むが、まるで生き物のようないばらに絡まれ、哀れにも命を落とす。やがて決して近づいてはいけない闇の城となる。
ところがあるとき、一人の王子様がみんなの制止もなんのその、オーロラ姫を救いにお城に近づく。すると不思議なことに幾重にもからまりお城を覆いつくしていた、いばらがするするとほどけていき、お城はかつての姿を現した。まさにそのときが100年の呪いがとけるときだった。王子様は何の苦労もリスクもなく、オーロラ姫を救い出し幸せな結婚をする。
これまでに命を落とした幾人もの王子たちと最後の王子は何が違ったのか。
命を落とした王子は自分の力で強引に運命を変えようとした結果、うまくいかなかった。
最後の王子は、たまたま機が熟したその瞬間に行動を起こした結果、外の力によって上手く成し遂げられた。
この王子は、内なるものと外とのバランスがよく、自然の流れにうまくのって生きているタイプだったのでしょうか。
示唆にとんだ話だと思う。
もともとグリム童話は、人々の口伝えにより残ってきた物語だという。
人の世のある面を巧みにうつしだす、リアルな物語なのかもしれない。
さて私が「いばら姫」と出会ったのはディズニーのレコードを通してだった。
幼いころくり返し聴いていた「眠れる森の美女」というディズニーのレコードの原作は「いばら姫」
お話と音楽が一緒になった、臨場感あふれるキラキラしたレコードだった。
残念ながらこのディズニー版は、肝心のところが原作とかけ離れている。
登場する王子様は一人だけで、絶対的なヒーロー、魔女と戦って自分の力で運命を切り開き、オーロラ姫を助け出す。
物語の肝が別物になっていて、かなり残念な気がする。
できれば、幼い子にも原作の「いばら姫」にふれて欲しいと思う。
幼いながら、何か心に刻まれるに違いないから。