3日ほど前のこと、勝手口から家の裏に出るとトカゲの死骸があった。
まだ生の名残りをとどめたような生々しい姿。
鳥にでも攻撃されたのだろうか、致命的な傷を負い、身をくねらせて息絶えていた。
しばらくしゃがんで死骸をみつめた。
その前日、そのあたりの草取りをしたばかりだった。
草のない地面に、身を隠すすべもなく無防備に這い出たトカゲは、たやすく天敵の餌食になったのかもしれない。
そうだとしたら、私もトカゲの死と無縁ではない。
ごめんな……
このまま朽ちて土にかえるのも自然の姿かと、3日ほどそのままにしていた。
が、そばを通るたびにその姿を目にするので、こちらも気になる。
野ざらしで冷たい雨に打たれるのも哀れか…と思い、埋めることにした。
庭に小さな穴を掘り、葬った。
死骸をスコップですくうと、すでにカラカラと乾いた質感の物質と化していた。
「また生まれておいで」と声をかけて、土をかける。
そのうちバラの花びらが、ハラハラとその上に舞い落ちることだろう。
大きなトカゲだった。
何年も(もしかして10年以上かも)この地で生きてきたに違いない。
生き物は人の身代わりになってくれることがある(ような気がしている…)
私の、または誰かの身代わりになってくれたのかも知れない。
それとも何らかの注意を促すメッセージを、身をもって見せてくれたのか。
色々と感じるところがあった。
トカゲがここで生きていたこと、そしてある春の日にふいに旅立ったこと……
覚えておこうと思う。