王様の耳は

時々エンドレステープのように脳内で再生される曲、ありませんか?

今日ふいに再生されたのは「王様の耳はロバの耳」

♪おーさまのみみはー ロバァーのみみ だかーらなんにもきこえないー きこえやしーなーいー♪

子供のころ、テレビでたまたま見たミュージカルの曲だと思うのですが、肝心のお話の内容は覚えていない。

今さらですが、ちょっと気になってお話についても調べてみました。

以下あらすじです。

ロバのような長い耳をした王様がいた。それをみんなに知られるのが嫌でいつも帽子をかむっていたが、床屋にはその秘密がばれてしまう。なので散髪してもらうたびに床屋を殺していた。ある床屋があまりに命乞いをするので、秘密を守ることを固く約束させて帰した。床屋はその秘密を話したくてたまらないのに話すことができず、病気になってしまう。占い師は「その病気は言いたいことを我慢しているのが原因であるから、誰にも聞かれない町はずれの柳の木に向かって言いたいことを言いなさい」と教えてくれる。早速床屋は、柳の木に「王様の耳はロバの耳」と気のすむまで繰り返すと病気はたちまち治ってしまった。ところがそれから後、風が吹いて木がゆれるたび、「王様の耳はロバの耳」と枝が鳴り始めたので、国中の人が王様の秘密を知ってしまった。王様はとうとう観念して帽子を脱いだところ、人々はありのままの王様を「ロバの耳の王様」と親しみを覚え、かえって敬愛するようになった。

こんなに深い話だったとは……

「秘密」についてあれこれ示唆を与えてくれる。

言いたいことを言えないというのは、時に人が病んでしまうほど重荷になるのだいうことがわかる。

占い師の助言をきっかけに、床屋は人知れず王様の秘密を吐き出すことができた。

床屋の身の安全が保たれつつも、自然の力の働きで新しい展開が生まれる。

風が吹いて木がゆれるたび「王様の耳はロバの耳」と枝が鳴るのだから、王様はたまらない。

王様が観念して秘密を手放したとき(本当の姿をみせたとき)民との関係もいっそうよくなる。

 

ギリシャ神話に由来するというこのお話を味わいながら、カウンセリングの現場を想起していました。

心理職はさしずめ、この話に登場する占い師や柳の木なのかも知れない(風が吹いても枝は鳴らしませんが)

人の営みに自然の働きが加わって、うまく事が運んでいくところも共感できる。

 

さて、秘密の共有を強いることは、世間にも多々あるのではないでしょうか。

友人に「ここだけの話にしてね」とか、子どもに「このことは外で話してはいけないよ」とか。

たいていの話は、命がかかるほどのことではないので、たやすく口止めをする。

でも口止めされた方に、どんな影響があるかなんて実際のところわからない。

時に、深刻な影響を与えうることを知っておかなければならないと思う。

 

       シマトネリコにアブラゼミ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です