ゆるさ加減

神島(こうのしま:岡山県笠岡市)の入り江の風景です。

 

父が入所している介護施設のテラスでひとり、コンビニパンと缶コーヒーでランチ。

海からのやさしい風に吹かれながら、磯のかおりも心地いい。

フェリーや漁船が白波をたてて行きかう様子は見ていて飽きません。

海のそばにいると安らぎます。

 

神島は子供のころ、キラキラ光る海の向こうにかすんで見える、いつも眺めていた島。

いいところに生まれたな~と今更ながらに思います。

風光明媚で、穏やかな瀬戸内の風土。

海の幸に恵まれ、ビワやイチジク、モモ、ミカン、ブドウなど果物がそれはそれは美味しい。

この地に居をかまえたわが祖先、なかなかのセンスです。

 

実家の父に顔をみせるという理由のもと、時々故郷に帰りますが、本当は自分のために帰っているのかもしれません。

生まれたときから自分を育んでくれた風土に、2~3日でも身をおくと、充電される実感があります。

 

人ものんびりしたものです。

バスに乗れば、初老の運転手さんが

「あれっ、さっきのバス停で誰か降りるんだったん? 向こうの車に気を取られて停まるの忘れとったわ・・」

高校生の女の子:「私でーす、降りたかったでーす」

運転手さん:「あ~お姉さんだったん? ごめんなあ、もう一回くるっと周って止まるからな」

女の子:「ありがとございまーす」

そのやり取りを数人の乗客が、にこにこと顔を見合わせながら楽しんでいる。

 

タクシーに乗って行先(実家)を告げると、運転手さん

「○○さんを知っとる?近所じゃないの?あそこの長男さんは今、○○の仕事をしとるんで。横浜にいる娘さんは、○○病院にお父さんが入院しとってな、時々帰られるよ。この前も僕が乗せたわ」

プライバシーも何もあったものじゃありません。

きっと私のことも、そのうち(名古屋から時々父の見舞いに帰る娘さん)として車中で語られることでしょう。

 

地域全体ににながれている、そんなゆるさ加減。

個人的にはほっとする面もあるのです。