色紙のお雛様

ひな祭りまであと一週間。

1か月ほど前から、「そろそろ出さなければ・・・ま、明日でいいか・・来週でいいか・・・」

と先送りにし続けていたお雛様をやっと飾りました。

 

色紙のお雛様もリビングに飾りました。

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20年前に頂いた手作りのものです。

 

当時、電車で通勤していた私は、駅近くで駐車場を借りていました。

その駐車場の持ち主だったおばあさんに頂いたものです。

一人暮らしだったその方は、いつも好奇心にみち、子供のように純粋でかわいい方でした。

手芸を楽しみ、駐車場の周りは自ら育てた季節の花で溢れ、日々の生活を楽しんでいらっしゃいました。

何故か私のことを気にかけてくださり、会社帰りの私を招き入れてお茶をご馳走してくださったり、一緒にお花を

活けてみたり。

80代のおばあさん仲間のガールズトークにまぎれこんだこともありましたね・・・。

 

私は結婚を機に、駐車場を解約しました。

おばあさんは今度は手作りのお人形を贈ってくださいました。

塩化ビニールでできた、身長15センチほどのお人形にグリーンの華やかな手作りのドレスを着せたものです。

ちゃんと透明のケースに入っていて、おばあさんのちょっと特別な気持ちを感じました。

今思い浮かべても、とても愛らしいお人形。

腰の曲がっていたおばあさんは、乳母車を押して電車とバスを乗り継ぎ、町の手芸店までその手作りキッドを買いに

行ってくださったのだと思います。

 

なのに私はそのお人形を実家に残したままにしてしましました。

その時は、そのレトロで素朴な姿に正直なところ魅力を感じなかったのです。

お人形は長い間実家のテレビ台の上に飾ってありましたが、いつのまにかなくなっていました。

誰かがどこかにしまったのか、それとも捨てられてしまったのか・・・。

 

結婚して間もなく転勤で遠くに引っ越してしまった私は、帰省した時いつかおばあさんに会いに行こうと思いながら

のびのびになってしまい、数年後にやっと訪ねた時は玄関の扉は固く閉じられていました。

もうそこには誰も住んでいない様子でした。

 

そのうちお会いできるだろう・・は叶わなかった。

グリーンのドレスのお人形は連れてくる前にいなくなってしまった。

人生は思っているよりも速くどんどん過ぎてゆく。

 

色紙のお雛様を眺めながら、こころに浮かぶさまざまなこと・・・。

 

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