読みかけの本があるというのは、それだけでちょっと嬉しいものです。
日々、続きを読む楽しみがある。
私を本の世界に導いてくれたのは、母でした。
自分が子供の頃に読んで面白かった本、感動した本を、成長に応じて与えてくれた。
いかに良かったかの語りと共に……
おやゆび姫に始まり、シンデレラ姫、アルプスの少女ハイジ、小公女、小公子、秘密の花園。
赤毛のアン、ああ無常、あしながおじさん、嵐が丘などなど。
中学生から高校生頃には、シェイクスピア、ジェーン・エア、風と共に去りぬ、伊豆の踊子など薦めてくれた。
そしてこのころ親子で、運動周作さんや、佐藤愛子さんのユーモアエッセイにはまりました。
遠藤周作さんの「狐狸庵閑話シリーズ」、佐藤愛子さんの「娘と私の部屋」を買ってきたのも母です。
それらの本を入り口に、遠藤周作さんの「海と毒薬」や「沈黙」「白い人・黄色い人」など、シリアスな作品も読むようになり、私の中に新しい扉が開かれていったように思います。
高校生の頃は、歴史小説にはまりましたね(友人たちがマッチやトシちゃんに夢中な中、義経や信長を信仰していた)
そのきっかけになったのも、母の本棚にあった永井路子さんの「北条政子」がとても面白かったから。
田舎の大家族のお嫁さんであった母は、それなりに気苦労の多い毎日ではなかったかと思います。
一日の内、好きな本を読む時間とそこから得られるものに、どれだけ助けられていたことでしょうか。
なので、母がたまに町に出たときに必ず立ち寄るのは本屋さん。
一通りの買い物や用事を済ませ、食堂でお昼を食べ(今でいうランチですね)帰りのバスの時間まで過ごしたのは、商店街の本屋さん。
そして、自分のための雑誌や小説、子供たちのための本を買いました。
母の影響で、私も本が手放せないタイプの人間となりました。
そして今、母の指向とはまた違う、自分なりの読書歴を歩んでいるところです。